今回のまとめ
SAOP(プログレッシブ)って何?
→アインクラッド編を1階ずつ上っていくお話
おもしろいの?
→おもしろい!
⇒RPGの2周目を遊んでる感じ!(じっくり&没入感&新発見)
1人称視点も読みやすさのひとつ
2022年11月6日に注目!
「プログレッシブ」とは:漸進性
あまたあるライトノベルを原作としたアニメ。その中でもトップクラスの知名度と人気を誇るソードアート・オンラインの第3期が2020年9月20日頃最終回を迎えました(「頃」というのは、地域によってはまだだから)。
シリーズ最大(最長)かつ最高傑作との呼び声も高い「アリシゼーション編」のアニメ化であり、4クールをも使って放送(連続ではない)という近年のアニメでは前代未聞の放送枠ということで大変話題となったため、見たという方も多いのではないでしょうか。
アニメ第3期自体の出来で言うと、絵の綺麗さが尋常でなく、あれだけの大作を4クールとはいえよくアニメの枠に納めたなという感じでおもしろかったのですが、あくまで個人的な意見としては、絵についてはCGっぽいよりも昔ながらの人が描いた感がある方が好きですし(だからFFよりドラクエ派)、お話についても、じっくり長く書かれた原作をぎゅっとまとめてスピード感のあるアニメにしたものよりも、スピード感のある原作でありながら人物の内面までじっくり見せるアニメにしたものの方が好きなので(※ミステリーは両方じっくりが好き)、第3期よりは第1期の方が好きだったかなと思います。いや、ちゃんとした出来でしたよ。説明がくどくないし不十分じゃないし。エフェクトは第1期の比じゃないです。
という第3期の感想はこれくらいにしておき、本題は「プログレッシブ」でしたよね。
正直これ、知っていましたか?
原作を読んだことのある方なら、本屋で隣に並んでいるので当然知っているし読んだ人も多いでしょう。しかし、アニメしか見てなくて存在自体知らず、最終話直後の予告でアニメ化が発表され初めて知ったという方もいるでしょう。
そんな「なにそれ!」と思った方への記事です。
また「スピンオフは読まない派なんだよな」という人や、「興味はあるんだけどシリーズが長く続きすぎて出遅れた感がある(半沢直樹みたいに)」という人にも是非読んでほしいと思います。
「プログレッシブ」を一言で説明すると、ソードアート・オンライン本編のパラレルワールドです。
・・・ってだけだと全くおもしろそうじゃないですよね。なので書かれた背景とともにもう少し詳しい説明をしていきます。なお、以下はSAOP(プログレッシブ)の「あとがき」等を参考にしています。
そもそもSAOは電撃小説大賞のために書かれた小説のため、1巻で物語が完結しています。アニメでいうと第1期の1部(アインクラッド編)ですね。アニメで日付が結構とびとびなことが気になった方もいるかもしれませんが、あれは基本原作通りで、主人公キリトを心身ともに揺さぶる事件のみしか描かれず、スピーディーに完結するものとなっています。
※その後の巻でいくつかサブストーリーは追加されており、アニメではそれらも加わっています
でもSAOのゲーム内の構造って「世界地図」が作れるような一平面の世界ではなく、100階ものフロアがある階層構造なんですよね。各フロアがひとつの世界となっていて、それをクリアして次の階へ上るという仕組みになっています。
細かいことを書くとネタバレが含まれてしまうので書きませんが、これが1巻・・・。当然いくつかの階しか描かれません。でもキリトたちは1階から順番に上ってきているので、実際にはどのように攻略してきたのだろうか。
これが「プログレッシブ」執筆の動機だそうです。
プログレッシブとは漸進、つまりゆっくり少しずつ進む・段階的に進むという意味なので、つまり「プログレッシブ」とはキリトたちの攻略を1階から順番にすべて見ていく小説ということになります。
なぜ「パラレルワールド」と表現したかというと、本編との矛盾が少なからずある「if」の世界だからです。「できるかぎり矛盾は少なくする」と言っていますが、絶対に避けられないものもあるので「ほぼ同じ展開になるパラレルワールド」と思っておくのが良いかと思います。
おもしろいの?
そんな説明をされると本当におもしろいのか不安になるかもしれません。ですが
確実に面白い!
と言い切れます。まあ好みの問題なんですが。でもここでの問題は「あえてパラレルワールドを読む意味があるのか」ということですよね?
結論から言うと、あります。
そもそも、本編とプログレッシブでは「おもしろさ」の方向性が全く違うんですよね。
本当にハマったRPGって何周かしませんか(1度クリアして、最初からプレイし直すこと)?あれと似ていると思うんです。
本編(1周目)は、能力的には圧倒的に高い主人公が様々な苦難(ラノベ的には精神面の苦難が多い)に立ち向かいながらもラスボス(魔王など)を倒すストーリーを楽しむ。割とボスバトル中心で、それをそばで見守る感じ。
一方プログレッシブ(2周目)は、大枠のストーリーと結末は知ったうえで、サブストーリーや各キャラの心情、ダンジョンのトリック・謎解きを深堀りしてじっくり楽しむ。ボスバトルもあるが、ゲーム内の世界観・シナリオがしっかり描写されているので、意外に街中が中心の話も多く、自分も一緒にプレイしている感覚。
こんな感じでしょうか、「プログレッシブ」の魅力とは。「あのセリフの背景にはそんな事件や葛藤があったのか」とか、「アインクラッドってこういう世界で、キリトたちはこうやって攻略してきたのか」とかをキリトたちと同じ視点で体験できるおもしろさがあります。
というか、本編のアインクラッド編が逆に異質なんですよね。ファンタジー(ゲームという設定とはいえ)って世界観をつくり上げるところが一番大変なわけじゃないですか。知らんけど。
上記の理由みたいなものがない限り、せっかく作った世界を1巻そこらでスピーディーに終わらせてしまうのはつくり手的にあまりにもったいない!作ったことないけど。
実際本編もアインクラッド編以外は複数巻を費やして話を展開しています。その最たる例が冒頭の「アリシゼーション」編です。
とはいえアインクラッド編以外のゲームは全て「いわゆるMMORPG」なので、明確なクリアがないんですよね。その点アインクラッド編のゲーム「ソードアート・オンライン」はMMORPGでありながら明確なクリアが設定されているので、だからこそ「プログレッシブ」に攻略していくことに余計に価値があるしおもしろさがあると思うんです。
どうでしょうか。おもしろさは伝わったでしょうか。
ちなみに本編に名前や影ぐらいしか出てきていなかったキャラも話に深く食い込んできますし、当たり前ですが新キャラも登場します。○巻だけに出てくるとかじゃなく、ほぼ全ての巻に関わる主要キャラとしてです。※エルフ!
ちゃんと本編の主要キャラ同様魅力的であり、本編の関係性をぶち壊したりしないので(本編とプログレッシブの矛盾にはなりうるかも。逆に矛盾を埋める存在となる可能性も)、安心しつつも新要素として楽しめると思います。
新作アニメではアスナ視点になるのでは?なんて考察もされているぐらいSAO時代(性格的に)のアスナが見られますし、本編の敵側の背景も書かれています。でもなにより、クセになる人続出のサブキャラ情報屋のオネーサンこと鼠のアルゴも主要キャラとして大活躍するので、ぜひご注目ください。
※当ブログプロフィール内で「大丈夫。ねずみの本棚だよ。」と書いてありますが、元ネタは情報屋のオネーサンです。
あえてプログレッシブからもあり!
この記事を読んでいる人の多くは何かしらの形でソードアート・オンラインの原作に触れたことが1度はあるかと思います。
しかし中には、「アニメ見て原作興味持ったけどちょっと20巻以上は長すぎて手を出しにくい」とか「アニメすら見てないけど小説読んでみたい、でもちょっと長・・・(以下略)」という人も結構いるのではないでしょうか。
そんな人に、あえて「プログレッシブ」から読んでみることもおすすめできます。何しろまだ6巻(2020年9月20日現在)しか出ていませんから。(1巻と6巻がそれぞれ2巻分ぐらいの分厚さがあることは秘密にしておこう)
全くアニメを見ていなくても物語として普通に楽しめるかと思いますが、人物名を覚えるのが苦手という場合にはアニメ第1期の3話ぐらいまで見ておくといいかもしれません。それ以降はまだ全然到達していませんから。
また「原作読んだけどこっちは食わず嫌い」という人も、アニメ化を機に読んでみてはいかがでしょう。
先ほど述べたように、おもしろさの方向性が違いますし、同時に新たな発見などもありますから。
ちなみに個人的には本編1巻よりもプログレッシブ1巻の方が読みやすい要素があると思います。
それは文体の違いです。最近は本編でもそうなっていますが、プログレッシブは1人称視点に近い書き方なんですよね。本編初期は3人称に近いです。一般的に物語は1人称視点の方が入り込みやすく読みやすいとされているので(その分主人公が知り得ないことは書きにくい。また、好みにもよる)、プログレッシブの方がとっつきやすいのではないかなあと思います。
ということでぜひ「ソードアート・オンライン プログレッシブ」読んでみてください!
・・・そういえば予告で示された2022年11月6日というのは何の日付なんだろう?映画かな?と思ったけどそうか、「ソードアート・オンライン」のサービス開始日か。いよいよ「自分も一緒に攻略」感が出てきましたね。
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