【SAOP】今プログレッシブがアツい!ソードアート・オンライン本編とのつながりも

今ソードアート・オンライン プログレッシブがアツい理由とは?

物語内のVRMMORPG「ソードアート・オンライン」のサービス開始日である2022年11月6日が目前にせまった現在(執筆時10月末)、ソードアート・オンラインシリーズ全体としての盛り上がりを見せているのはもちろんですが、実はその中でも「プログレッシブ」シリーズがアツいのはご存じでしょうか。

「プログレッシブ」とは、駆け足だったソードアート・オンライン本編のアインクラッド編を再構成・再執筆し、階層順・時系列順に第1層から攻略する様子を描くシリーズです。既刊8巻、映画も第2弾までつくられ、その第2弾『冥き夕闇のスケルツォ』が延期の末10月22日に公開されました。といいつつ実はIMAXでは1日早く先行上映され、タイミングよく先行上映日に観ることができました。まさに映画の公開こそが、「今アツい」理由のひとつ目です。

※SAOはIMAXで観るべき?通常上映・IMAX・ドルビーアトモス・フルダイブで観比べた感想(近日公開予定、しばらくお待ちください)

ん?ひとつ目?そう、実は理由はもうひとつあるのです。じゃあ小説の方で急展開が?と思いきや、プログレッシブ8巻は6月に出たっきり、つまり「今」何か進展があったわけではありません。実は個人的にプログレッシブの方が好きだったりするので早く出てくれないかな~と思っているのですが、それはさておき、結論を言うと「小説」が理由であることに変わりはありません。そう、小説は小説でも、10月に発売された本編27巻。こちらでささやかな、でも今後を決定づける描写があったのです。

それではアツい理由をそれぞれ見ていきましょう。

冥き夕闇のスケルツォ 感想

さて、それでは映画の感想から行きましょう。せっかく先行公開日に観に行ったのに記事の公開が遅いのですが…

結論から言うと、すごくよかったです。普通に面白かったし、特にバトルシーンの作画も力が入っていたので、映画館で観た価値があったな~と感じました。

一方で、なぜ「普通に」という表現になってしまったのか。それは、個人的には第1弾『星なき夜のアリア』の方が面白く感じたからです。私は普段、同じ映画を映画館で何回も観るようなことはしないのですが、『アリア』は4回も観に行ってしまいました。それは特典欲しさと、上映映画館によって違いはあるのか(IMAXとドルビーアトモスなど)が気になったからという理由もあるのですが。しかし今回の『スケルツォ』は、観てももう1回かな~と思っています。なぜか。

そもそも論として、これは公開前から分かっていたことですが、第1弾が順当に第1層攻略がテーマだったのに対し、第2弾は少し飛ばして第5層攻略がテーマとなっています。それに関して少しだけ残念な気持ちがあるのは事実です。ただ、映画製作・ストーリー構成上仕方がないのかなと思っているのもまた正直な思いです。なので、この点に関しては映画の評価にあまり影響していません。

というのも、詳細はネタバレになるので伏せますが、第2巻3層(※第1巻は2層まで攻略)からは「エルフ戦争キャンペーン・クエスト」(以後、エルフクエスト)が始まります。エルフクエストは小説のストーリー上はメインストーリーですが、ゲーム上はサブクエスト扱い、つまりゲーム攻略とは直接関係がありません。また、ソードアート・オンラインというゲームは階層ごとに別個のテーマが設定されているため、通常は各階層同士、ゲームシナリオ上の話のつながりはほとんどなく、それに伴って多くのサブクエストは階層ごとに完結しているものが多いと思われます。ところがエルフクエストは、珍しく複数階層にまたがって展開しているサブクエストとなっています。だからこその小説のメインストーリーと言えるかもしれません。

小説、特にライトノベルの場合はストーリーが複数巻にまたがって進行することは普通ですが、1本ごとにしっかり興業収益を上げなければならない映画では、1本ごとにメインとなるストーリーは完結させるのがおそらく望ましいのでしょう。「次」が出る間隔も影響するのでしょうか。もしくはじっくり楽しみたい小説と、サッと楽しみたい映画の文化的な差異でしょうか。とにかく、エルフクエストがあまり映画向きでないことは、私も認めざるを得ません。3部作とかでやるなら私は絶対観ますが。残念ではありますが、映画でエルフクエストが扱われないのはしょうがないと思っています。むしろ、あえて2~4層をとばしたのは、テレビアニメ化への伏線なのでは!?という希望的観測だけ述べておきます。世の中にこれだけラノベ原作のアニメがあふれているのは、ラノベとテレビアニメの親和性が高いからで、だからこそエルフクエストもテレビアニメこそ向いていると信じて疑わないからであります!(急に選挙演説風)

それでは結局なぜ『スケルツォ』の評価が「普通に面白かった」なのか。それは、『スケルツォ』が原作のアニメ化として素晴らしすぎたからではないかと思っています。

正直、観る前にこの映画に求めていたものは、全て入っていたと言っても過言ではありません。きれいな映像、それに伴う迫力あるバトルシーン、SAO本編よりも詳細なプログレッシブだからこそのキリトとアスナの心理描写などなど。でもやっぱり、『アリア』ではほぼ登場しなかったアルゴを、今作こそは原作に忠実に描いてくれるのかどうか。一番気になっていたのはそこかな~。『アリア』でも本当は描いてほしかったアルゴのシーンはあるんだけどナ。元々アルゴのファンだったわけでは全然ないのに、プログレッシブを読むとオネーサンの魅力にハマるんだナ~これが。

で、実際『スケルツォ』ではどうだったのかというと、今作はアルゴメインと言ってもいいくらいの活躍。というか、原作の再現度がかなり高い。もちろん尺の都合やミトの存在により、カットされたり改変された部分もありましたが、話の本筋は何も変わっていないと思います。なんなら、アルゴのシーンはほとんどカットされていない。これぞ「メインビジュアルに偽りなし!」って感じです。

※鑑賞後に確認のため原作を読みましたが、上記の印象どおりでした。

ただ、これだけ求めるものが入っていたにもかかわらず、観終わったときに若干の物足りなさを感じたのはなぜなのだろうか。そう考えて、ひとつ思い当たるものがありました。

それは、「映画オリジナル要素」です。

『アリア』では原作とは違う「アスナ視点」、そして原作には登場しない「ミトの存在」、主にこの2点がオリジナル要素と言えます。正直、映画化にあたってオリジナル要素は危険です。「そんなものファンは求めていない!」となりかねないから。でも『アリア』では、オリジナル要素がストーリーの邪魔をしていないどころか、深みにつながったと感じました。確かに原作には全くないし、なんなら一部改変もあるけれど、大きな流れ(特に心理描写)に矛盾がほぼないし、だからこそ「原作に書かれていることの裏では本当にあったかもしれないな」と観客に思わせる内容となっていました。唯一の『アリア』オリジナル要素の欠点は、それに尺を使ったこと。それによって泣きを見たのはアルゴのオネーサンです。

反対に『スケルツォ』では、オリジナル要素がかなり少なかった。先ほども書いたように、今作にもミトは登場し、ミトオリジナルのシーンや、原作では別のキャラが担った活躍をミトにさせる場面などがありました。それでもアクセントの域を出ないぐらいの割合です。

なので、映画『スケルツォ』のシナリオは、ほぼほぼ小説『スケルツォ』のストーリーと同じと言えます。

人間とはこれほど欲深い生き物なのか。あれほど「原作に忠実」を求めていたのに、いざ原作に忠実だと、ストーリーを知っているばかりにドキドキ、つまり次の展開への不安や期待が薄らいでしまって物足りなさを感じてしまう。これが「普通に面白かった」の真相だと思います。

原作ファンにとって、映画『スケルツォ』は納得の出来だと思います。ですが、この映画を一番楽しめるのは原作を読まずに観た人なのではないでしょうか。

なんにしろ、延期されていた映画が期待通りの出来になっていた。これをアツいと言わずして何と言いましょうか

あ、どうでもいいことをひとつ。

私と同世代以上が予告を見てから映画を観ると、「まるでスターウォーズ エピソード2だな」と思います。いや、覚えていれば。予告でヨーダが「クローン戦争の始まりじゃ」と言ってたのに、実際映画で言う場面、最後じゃん!となったのをまるで昨日のことのように思い出します。ある種のトラウマ笑

『スケルツォ』でも、ストーリー知ってるからこそ「これ言うの最後だろうな~」という予感はあったのですが、「ほんとに最後かよ!」とツッコまずにはいられませんでした。

「ゲーム攻略どころ云々~」のやつです。ああいう予告、どうにかなりませんかね

映画追加情報(特典小説がアツい!)

11月5日(確か3週目かな?)から、来場者特典として書下ろし小説が配布されます!

すごい偉そうな表現で申し訳ないけれど、川原先生の特典小説はいつも出来がいい!

どの作家さんも忙しい中で特典小説を書いてくれると思うのだけれど、どうしても小説としてはページ数が少ないので、多くの特典小説はストーリーの盛り上がりに欠けるものがどうしても多い印象です。しかし川原先生は少ないページ数ながらも必ずひとつクエストを絡ませていて、盛り上がりの場面を必ず描いてくれる。また、映画や原作の補完となる内容なので、ぜひとも手に入れたい代物です。

どうも、配布が25万冊限定なのに対し、2週間の動員は39万人だったようです。おそらく数日でなくなることはないんじゃないかな~と思っているので、気になっている方もそんなに焦る必要はないと思いますが、私は万が一にも逃すことのないよう日曜日にもう一度観に行こうかなと考えています。

ソードアート・オンライン27 ユナイタル・リングⅥ

映画の話が長くなりすぎたので、こちらは手短に…なればいいな。

最新刊でサラっと、本当に少しだけ、プログレッシブの内容が描かれました!

先ほど書いた、「エルフ戦争キャンペーン・クエスト」についてです。まだまだ全然詳細には書かれていないのですが、明確にキリトの口からエルフクエストに関して語られています。それの何がアツい理由なのか。

このプログレッシブシリーズは上記の通り本編では描き切れていないアインクラッド編を詳細に描いた物語ですが、川原先生が第1巻のあとがきで書いているように、扱いは結構センシティブです。というのも、本編ではキリトとアスナが本格的に出会うのは割と上層の設定ですが、プログレッシブでは第1層の時点でかなり絡んでしまっているし、それこそエルフクエストでは2人でパーティーを組んでがっつり攻略をしています。すると、本編とプログレッシブで2人の関係に矛盾が生じることが避けられません。その矛盾は今後の物語で設定をすり合わせるべく最大限の努力をすると川原先生はのべていますが、どうやっても限界はあるはずです。

しかし、こうして本編にエルフクエストを登場させたということは、「やっぱりプログレッシブはパラレルワールドです」という言い訳を完全に排除したという意味に他なりません。まあ元々川原先生がそんな言い訳をするとは思いませんが。

でも、これによってプログレッシブははれて公式設定になったということです。これからは本編とプログレッシブが同時進行で刊行されながら、有機的に絡んでいく示唆であると感じました。川原先生も、プログレッシブの映画公開をふまえて、あえて明確に「エルフ戦争キャンペーン・クエスト」を文字にしたのではないでしょうか。

そう考えると、本編27巻に書かれた内容はわずかでも、今プログレッシブがアツいと感じる理由が伝わったのではないかと期待します。

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