【86】魅力は世界観が凝縮されたタイトルにあり!アニメ放送開始!

アニメ放送開始!ライトノベル『86』の最新情報

タイトルには現実誇り、そしてが込められている。

第23回(2016年)電撃大賞「大賞」受賞作『86』

そのアニメ化作品の放送が2021年4月10日から順次始まります。

電撃大賞ということで、ラノベ好きの間では有名な作品だと思います。私は全ての大賞受賞作を読んでいるわけではありませんが、この作品は最新作(執筆時9巻)まですべて読んでおります。感想はというと・・・

圧倒的に面白い!

小説は好きで色々読みますが、文字通り「寝る間も惜しんで」読み続けてしまう作品はそれほど多くありません。

一例をあげるなら『古典部シリーズ(氷菓)』『ソードアート・オンライン』『終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?』『アオイハルノスベテ』あたりでしょうか。ひとつだけアニメ化されてない(同作者他作品はアニメ化済み)のでちょっとだけマイナーかもしれませんが。

で、当然『86』はこの中に加わる作品です!

これらはすべて人におススメしたい作品なので、いずれ当ブログで紹介したいと思いますが、タイムリーということで今回はおススメラノベ第2弾として『86』を紹介したいと思います。

※第1弾は劇場アニメ化が決まったSAOのプログレッシブです。

これを読んでいるのは原作未読でアニメが気になっている方が多いと思いますので、基本的にはネタバレなし(アニメ事前情報と原作1巻トビラのあらすじのみ、ただし「まとめ」の章のみネタバレ微有り)で魅力を紹介していきたいと思います。

業界でも注目度が高く力も相当入っていることが伺えます。というのも、制作はSAOその他超有名作を手掛けるA-1Pictures、そしてなんと分割とはいえ2クール(約24話)での放送が発表されました。

まだ原作を読んでいない方は、うーん、読んでから見た方が良いのか見てから読んだ方が良いのか、どちらも一長一短で難しい。

ただ、話としては相当面白いので、間違いなく見た方が良いアニメだと思います。

1話目を見た感想はこちら(準備中)

アニメの魅力

正直始まっていないものを判断することはできませんが、間違いなく言えるのは飛びぬけて「絵がきれい」ということです。もちろんプロモーションビデオというものは本編以上のクオリティーであることがほとんどですが、それを差し引いても美しく、制作会社を考えれば作画崩壊の可能性も低いだろうと思います。これ結構重要です。

また、(おそらく)CGを多用してなさそうで個人的には安心しました。正直個人的にはCGがあまり好きではありません。ピクサーなどの例外はあるものの、基本的に「人」に対して使われたCGを見ると気持ち悪くて。映像で「ぬるぬる」って基本的には良い表現ですが、私はそのぬるぬるがダメですね。PVを見る限りでは手書きが多そうな感じでした。おそらく戦闘シーンはCGが多く使われるのだと思いますが、うまく作れば機械とCGの相性は良いと思うので(ガルパンとか)、逆にそこはCGに期待しています。

原作の魅力

今回の本題です。

『86』の何が魅力なのか。読み始めると止まらなくなるほど面白いですが、誤解を恐れずはっきりと言ってしまえば、大枠としては普通のロボットものです。いや、違うな。戦争ものかな。とにかく簡単に言ってしまえば、襲ってくる敵を「戦闘機」に乗って撃退するお話です。ちなみにその敵自体も「機械」。はじめにロボットと言ったのは、戦闘機とは飛行機のことではなく戦闘機械(マシーン)だよということであり、やっぱりロボットものじゃないと言ったのは、戦闘機のかっこいい機能や見た目を売りにしたものでは決してなく、むしろ性能や見た目はかなりの低ランクだからです。

アニメならそれだけである程度は面白くなりそうなテーマですが、小説となるとそれだけが理由で「寝る間を惜しむ」ほど面白くなるわけではありません。映像による迫力がありませんから。となると読者を引き込むものが別に必要になります。この作品における「引き込むもの」は何か。私は

 割とよくある世界観に一滴たらしたワンアイデア

と表現したい。細かい魅力は色々ありますが、やっぱり基本的な世界観はよくあるやつなんですよね。戦時下、攻めてくる敵を辛くも迎え撃つっていう。それだけでも普通に面白さはあるのですが。でもそこに緊張感や奥深さ、メッセージ性が付け加えられているところが『86』のポイント。しかもそのメッセージ性等を生み出す要素は、極端に削ぎ落とされた短すぎるタイトル「86」に凝縮されている!それが先ほど言ったワンアイデアです。

物語の(一応の)中心であるサンマグノリア共和国は全85区画で構成されている国で、大量の「レギオン」という名の無人機から侵略を受けている、という設定。その無人機に対抗するため共和国も「無人」機を開発し対抗することで、苛烈を極める戦場において「戦死者ゼロ」を実現していましたが、実際には「有人の無人機」であり、「エイティシックス」と呼ばれる、端的に言えば被差別民が乗っているというものです。東京23区に対する「都下」みたいなもので(昔住んでいたので自虐的に笑)、85区に住んでいない者は共和国民でなく、なんなら家畜と同じだ、だから家畜がいくら機械に乗ろうと「人」は乗っていないのだからそれはもう「無人機」だ、という理屈でエイティシックスに戦いと犠牲を強いている。そんな世界での共和国軍人の少女レーナとエイティシックスの少年シンの物語です。

どうですか?いっきにきな臭く、泥臭く、人間臭く、また緊張感が出てきたと思いませんか?近年例を見ないほどの短いタイトルであるにもかかわらず、そのタイトルが物語のキモになっている。これほど美しいタイトルは他にないと私は思います。だって、たった2字に差別と世界観(共和国という彼らの置かれた社会状況)が表現されているのですから。

いや、正確に言えば『氷菓』など美しいタイトルはあるにはあるのですが(厳密には氷菓はアニメのタイトル)、1巻(もしくはその中心的なストーリー)にのみ当てはまるものが多いように思います。実は『86』もずっと共和国が舞台なわけではありません。しかし差別されていた事実と認識は、エイティシックスという呼称(蔑称)とともに彼らのアイデンティティに深く刻まれているため、最新刊まで重要なテーマであり続けています。

差別を扱うから鬱アニメ(小説)なのかと心配する人もいるかもしれませんが、シンが圧倒的な強さで敵をなぎはらう爽快さがウリという側面も。差別等はあくまで奥行きを持たせるためのバックグラウンドです。なお圧倒的な強さというのはあくまで局所的な戦闘のはなし。戦争を俯瞰してみれば圧倒的に人類が劣勢です。主人公の強さだけを押し出すとスカッとした爽快さしか残りませんが、人類にほとんど希望が残されていない中でのシンの強さ、そこらへんのバランスがうまいなあと思います。また強さの理由のひとつにシンのある特殊能力の存在があるのですが、それもやはり「生まれ」や「エイティシックスとして育ってきた環境」と無関係ではいられません。

全体的に話の進み方に不自然さがなく主人公たちの行動に必然性があり敵などのわかりやすさと伏線などの複雑性が共存し、人間ドラマもある。テーマにパワーがあるからこそ書けるストーリーなんだろうなと思います。

まとめると、「86」に魅力が全部詰まってるよってこと。

若干の問題点・懸念点

人の作ったものですから、良いところがあれば悪いところもあるのは至極当然のこと。もちろん『86』にも困った点が一切ないわけではありません。

例えばひとつめが「文章が読みにくい」と感じる人もいる・箇所もあるということ。

そもそも物語世界の専門用語が多く、一部は挿絵で補ってはいるものの形のイメージすら浮かばない言葉も多数存在します。まあ用語はしょうがないにしても、文章自体、中途半端な体言止めや句読点などで読みにくさがないとは言えません。

ただ、これは評価(賛否)が分かれるところです。国語科ではないけれど日々文章の添削をしている私から見ても、たしかに文法的におかしな箇所があります。そのため、特に「状況をイメージしながらじっくりと読みたい派」の人からすると難解な文章に思えるかもしれません。

一方で「細かい描写は置いといてストーリー自体を楽しむためにサラッと読みたい派」の人からすると、逆に読みやすさがあるかもしれません。なぜなら、体言止め等はリズム感や語感を良くする効果があるからです。

個人的な意見を言わせてもらえれば、正直そこまで文章は気になりません。私は基本的にはじっくり読みたい派なのですが、細かい戦闘描写を理解するのは諦めなんとなくの理解で良しとしています。その読書スタイルからすると、文がよどみなく脳に流れてくる、というほどなめらかな文章ではなくても、読むのには全く困らないかなといった評価になります。

ふたつめは問題というか今後の展開への懸念なのですが、物語が進むにつれ最初から強かったシンがさらに強くなりすぎ、窮地に追い込まれるパターンの幅が狭まりつつあるという点です。国家レベルでは最初から窮地ですが、もちろん個人レベルでも窮地はあります。ですがもはや純粋な戦闘では苦戦しなくなり、仲間の窮地やケガ、死ぐらいでしか読者の緊張感を煽れなくなってきているのです。

だからこれをもって「1巻が一番良かった」「1巻だけで終わればよかった」という人もいます。でも私はそうは思いません。私のような一般人の予想を裏切るようなパターンや展開を期待していますし、そうなると信じています。

まとめ+アニメはどこまで描くのか(若干のネタバレあり)

まとめると、絶対に見た方が良い、もしくは読んだ方が良い!

後悔する人は極めてまれだと思います。

考えた世界観がすごいというのか、つけたタイトルがすごいというのか分かりませんが(きっとどっちも)、最近のラノベにありがちな長いタイトルに抵抗感のある人も、これだけ短ければ手に取りやすいのでは?

アニメは確実に各方面の全力の後押しが感じられる力作となっているので、まずはアニメを見てその後小説を読んでみるというのもいいのではないかと思います。数話見てから続きが気になって小説で読んじゃうなんてこともあるかも。

とにかく、ここ最近のラノベの中では一二を争うオススメ具合です!

以下若干のネタバレを含みつつ、アニメはどこまでやるのかを考えてみたいと思います。

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いいですか?

いきますよ。といってもそこまでもったいぶる話でもないですが。

さて、2クールが決まってますけどどこまで描くんですかね。

既刊9巻ですが、それはあり得ないとして…

よくアニメ1クルールは小説3~4巻と言われますが、たぶんそれ日常系とかラブコメのことだろうな。

not日常系notラブコメ、ハードな戦闘ありの86。2クールだから1巻では終わらないとすると、現実的なのは丁寧に描いて3巻まででしょうか。

1巻の終わりと3巻の終わりはリンクしているので、3巻で終わりだとすると区切りが良いですよね。

4巻終わりにできなくもないけど、それだと蛇足感が出る気がします。一応共和国関連だけど、5巻以降も続くありきの話だと思うので。また5巻以降は1~2巻で1つのお話ですが、言ってしまえば各地転戦しているだけですし、最新9巻もその流れの最中なので、5巻以降はあり得ないと考えていいと思います。

はい。やはり結論は3巻までです。アニメをどういうストーリー構成にするのか(1巻と3巻の終わりを2クール目の最後に一緒に見せるのか、小説通りに描くのか)分かりませんが、3巻までにしてきれいに終わらせてほしいと思います。

そうすると細部まで丁寧に描けそうですね!期待してアニメを視聴したいと思います。

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